ヒプノセラピーと解決志向アプローチ
2019年5月12日
この記事の執筆責任者:クリアライトヒプノセラピースクール代表:今本忠彦世界最大級の会員数と最も長い歴史を誇る米国のヒプノセラピストのプロ団体、NGH米国催眠士協会(National Guild of Hypnotists)のマスタートレーナーとして活動中。2009年より現在まで、800名を超えるプロのヒプノセラピストの養成実績を誇る。執筆書に、『世界基準のヒプノセラピー入門(河出書房新社)』がある。
ヒプノセラピーと解決志向アプローチ
今日は、解決志向的なヒプノセラピーについて、お話をしましょう。
最近、スクールの卒業生から、以下のような感想をいただきました。
「わたしは元々、コーチングをやっていたのですが、クリアライトのヒプノセラピーが解決志向的なスタンスであったことが、ありがたかったです。どうして、このことをもっとアピールされないのですか?しっかりアピールされた方がいいと思います。」
このような内容です。
わたしとしては、「全くの初心者の方に、ここをアピールしても意味がわからないだろう。」と思って、このことに関してはアピールしていないのですが、そもそも、解決志向的なヒプノセラピーとは何なのでしょう?
なぜ?ではなく、どうすれば?
解決志向的なヒプノセラピーとは、「なぜ?”できないのか?」という”理由”ではなく、「どうすれば?」”結果”を出せるのかにフォーカスしたヒプノセラピーのことを言います。
私が大きく影響を受けたのは、アメリカを代表する催眠療法家のミルトン・エリクソンです。
エリクソンのセラピーは「未来、ゴール志向」であり、行き着くゴールを明確にします。
特に、ヒプノセラピーには年齢退行という手法があるのですが、多くの方が不幸の原因を、過去のトラウマに結びつけようとする、原因志向的なセッションを行っています。
そして、不幸の原因を、母親であったり、父親であったり、育ってきた環境のせいにします。
しかし、そのようなことを行っても、親や環境を恨む心が強くなるだけで、トラウマは癒されません。むしろ、トラウマを強化してしまいます。
目的意識のないセラピー
クリアライトには、他のヒプノセラピーのスクールで、相当な日数をかけて知識を学び、そして、テクニックを学んだにもかかわらず、学んだことに納得できず、また学びにくる方がいます。
そして、私なりに、彼ら、彼女らに何がかけているのかを観察すると、志向性という意識が全くないのです。
どれだけ多くの知識があっても、どれだけ素晴らしいテクニックを学んでも、セッションの志向性がなければ、人に満足したセッションを提供することは絶対にできません。
志向性がないままに年齢退行をすると、結果として、クライアントを犠牲者のポジションに定着させてしまうのです。全ての不幸の原因は母親のせいであり、他人のせいであり、環境のせいだと結論付けます。
すると、癒しどころか、怒りや恨みのエネルギーだけが増幅されるだけです。
これでは、結果がでないだけではなく、人をダークサイドに向かわせます。
解決志向的なヒプノセラピーとは
では、解決志向的な年齢退行とは、どのように行うのでしょう?
幼少期のトラウマ体験を不幸の原因にするのではなく、そこから学べる学びを学んでもらいます。
もちろん、トラウマがシビアな場合は、「何かを学んでください。」と言っても、反発される可能性があるので、一時的には犠牲者ポジションに留まらせることあっても、最終的には、「学び」に向かわせるようにします。
これは、どういうことかというと、過去のトラウマに翻弄されるのではなく、どれだけシビアなトラウマであっても、それに対して肯定的に反応できる心を育てていくのです。
そうすることで、心を強くしていくのです。
トラウマ体験を不幸の原因にはしないこと。
潜在意識は全てを素直に受け入れるという素直さを持っています。よって、「あなたのトラウマ体験があなたを不幸にした原因ですよ。」というと、クライアントは過去にずっと囚われたまま生きていくしかありません。
これは、クライアントの心を不幸にしてしまいます。
しかし、過去のトラウマに対して肯定的な意味づけができれば、心は必ず強くなり、前向きに生きることができるようになります。
これは私が保証します!