前世療法のやり方について
今日は、前世療法のやり方について、お話をしたいと思います。
前世療法の手法の説明
前世療法は、1988年に、アメリカの精神医、ブライアン・ワイス博士の著書、『前世療法』を通して、世の中に大きく広まりました。
その手法を簡単に説明すると、流れは以下の通りです。
- カウンセリングをして、どのような前世に戻るのかを決める。
- 前世療法とはどのような手法なのかを説明する。
- クライアントを催眠状態に誘導する。
- 「ターゲットとしている前世に戻りなさい」と、潜在意識に指示をする。
- 前世イメージを引き出す。
- 現世で問題としていることと前世イメージとの関連性を探る。
- 学びを統合する。
- 解催眠。
- 事後面談。
クライアントの動機
前世療法を受けるためにセッションルームに来られる方は、大きく次の3つのタイプに分けることができます。
- 悩み事は特にないが、前世療法を体験してみたい方。
- 悩み事があって、その原因が前世にあるのではないかと思っている方。
- 前世の存在を確認しに来られる方。
悩み事は特にないが、前世療法を体験してみたい方
このタイプの方は、セラピーを受けて解決するほどの悩みはないが、前世療法を、ただ体験してみたい、という方です。
まずは、どのようなタイプの方が来ても、前世療法とは何なのかをしっかり説明してください。
そして、潜在意識の中には数え切れないほどの前世のイメージが保存されているので、「どのような前世に戻りたいのですか?」と聞きます。つまり、どのような前世に戻りたいのか、ターゲットを定めます。
もし、今、何か悩み事や気になることがあれば、それに関連した前世に戻れるようにすると、前世療法がやりやすくなります。
しかし、中には「特に今、悩んでいることもないし、どのような前世に戻ればいいのか、わからない。」と言われる方もいらっしゃるでしょう。
このような場合でも、催眠誘導後に、その人の潜在意識に対して、「あなたが今日、体験すべき前世に戻ってください。」と潜在意識に命令すれば、それなりに意味のある前世イメージを引き出すことができます。
悩み事があって、その原因が前世にあるのではないかと思っている方
このタイプの人には、まず、現在の悩み事をしっかり傾聴します。
- その問題はいつ始まったのか?
- どれぐらいの間、それは問題であったのか?
- その問題を改善するために、これまでにどのようなことを行なってきたのか?
そして、どのような前世に退行するのかというターゲットを定めた後、催眠誘導をして、「その問題の原因となっている前世に戻ってください。」と潜在意識に命令します。
もちろん、これはどのようなタイプの人に対しても共通してやらなければならないことですが、必ず、事前面談の中で、前世療法とはどういう手法なのかをしっかり説明してください。
前世の存在を確認しに来られる方。
このタイプの方は、前世療法を通して出てくるイメージに対して、過度の期待をしている方かもしれません。
例えば、まるで別世界に入っていくような、そして、ものすごい神秘体験をするような、そんな期待感を持っている方がたくさんいらっしゃいます。
しかし、前世療法を通して出てくる前世イメージは、とても象徴的なイメージであり、普段、目を閉じたときに出てくるイメージとさほど変わりません。
よって、ほとんどの場合、「自分自身が創ったイメージなのではないですか?」と言われます。それぐらい、普通のイメージなのです。
もちろん、中には「前世が確認できた」と喜ばれる方もいらっしゃるのですが、多くの方は、自分が勝手に作り出したイメージ、と思われます。
よって、まずは、前世療法とはどんな手法なのかを、しっかり説明する必要があります。
前世療法で前世の存在が確認できるのか?
前世療法の話になると、いつも議論になるのは、その前世が本当の記憶なのか?あるいは、そうでないのか?という議論です。
しかし、この議論は、いくらやっても延々と平行線を描くだけで、結論がでません。
ちなみに、わたしはこの手法の権威であるブライアン・ワイス博士に2008年にお会いして、すばり、「この手法を用いて出てくるイメージの、何パーセントが本当の記憶に由来するものなのですか!」と質問したのですが、博士の答えは、
「イメージには歪みや創作はたくさんあるかもしれないが、ほとんどの場合、約80%は、その根源は真実に由来するもの。」ということでした。
なるほど……。
つまり、ブライアン・ワイス博士は、この手法によって浮かび上がる前世イメージが本当の記憶であるという、確固たる確信をもっておられました。
セラピストはクライアントの前世イメージを勝手に歪めないようにしてください。
前世療法というテクニックは、セラピーとして、とてもパワフルなツールになります。
よって、プロのヒプノセラピストとして、一般の方に対して前世療法のセッションを行う場合は、次の2つに気をつけて欲しいと思います。
1:前世イメージを引き出す(ELICITATION)ことに徹すること。
これは、前世療法の時だけではなく、年齢退行も同じなのですが、潜在意識の記憶やイメージは、嘘の記憶も簡単にインストール(Installation)できることがわかっています。
ですから、セラピストはクライアントから出てくるイメージを歪めるのではなく、純粋なイメージだけを引き出す(ELICITATION)ことに徹してほしいということです。
ヒプノセラピストは少なくとも知識として、何が INSTALLATION(インストール)で、何が ELICITATION(導出)なのかをしっかり学んで欲しいと思います。
例えば、今、クライアントは前世イメージの中で、前世に住んでいた家の前にいます。そのクライアントに対して、
「そこで、他に何が起こっているのか、教えてください。」
とか、「周りの様子をもう少し詳しく教えてください。」
と聞けば、これは ELICITATION(導出)であるのに対して、
「では、そのまま、食卓に行って、家族と一生に食事をしましょう。」
ってやってしまうと、INSTALLATION(インストール)になる訳です。
なので、これはやらないようにしてください。
なぜなら、本当は「食卓にいく」という行動はしなかった可能性があるのに、セラピストが、そのような行動を起こすように誘導したからです。
このようにインストールをしてしまうと、純粋な前世イメージは歪められます。
最後は必ず、学びを引き出してください。
催眠状態で前世を体験することも大切なのですが、最後は必ず、「学び」を引き出してください。
例えば、何かの問題に対して前世療法を行った場合は、
- 「今、体験した前世から、何が学べたのか?」
- 「何を学べば、前世から繰り返されているパターンから解放されるのか?」
誰かとの人間関係を扱った場合は、
- 「何を学べば、その人との関係性をよりよく発展させることができるのか?」
といった具合に、必ず、最後は学びを引き出してください。
前世療法のテクニックに精通するためには、しっかり学ばなければなりません。
前世療法は、ヒプノセラピーのテクニックとしては、比較的、簡単な部類に入るのですが、前世を引き出す質問力や、学びの引き出し方など、満足したセッションをご提供するためには、しっかりとした知識とテクニックを学ぶ必要があります。
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